トヨタが海外ラリーに本格参戦したのは世界ラリー選手権が始まった1年前、1972のRACラリーでした。この時以来、ラリーマシンとしては若干大柄なセリカを主力として戦ってきたトヨタにとって、1997年からのワールドラリーカー(WRカー)規定はマシンチェンジの大きなチャンスとなったのです。年間2万5千台以上生産されている同型車をベースにすれば、ターボや4WDシステム、さらにはエンジンまでも自由に組合わせることができるWRカー規定により、よりコンパクトなボディのカローラをベースとした新型ラリーカーの開発がスタート。こうして生まれたのがカローラWRCです。そして、このマシンこそ72年以来トヨタのラリー活動を支えてきたTTEの代表O.アンダーソンが求めていたマシン・パッケージだったのです。カローラのボディに長年セリカで培ってきたメカニズムを積み込んだカローラWRCは、3S-GTEと呼ばれる2L4気筒のターボエンジンをフロントに搭載して四輪を駆動。サスペンションは前後とも信頼性と整備性に優れたマクファーソン・ストラットとなっています。さらにステアリングコラム横に付けられた「ジョイスティック」と呼ばれるシーケンシャル・シフトレバーで6速ミッションをコントロール。空転しているホイールを感知して自動的に油圧ブレーキを効かせるアクティブ・ブレーキや、後輪にかかる駆動力を制御するハングオンクラッチを採用したセンターデフなど、電子制御デバイスを豊富に盛り込んだ先進的な内容となっています。もちろん、セリカより一回り小さなカローラは、ラリーで使われる曲がりくねった田舎道での操作性がはるかに優れているのはいうまでもありません。97年のフィンランドラリーでデビューしたカローラWRCは、半年間のテスト参戦を経て、98年から本格参戦。C.サインツ、D.オリオールがメインドライバーとなり、特にサインツは最終戦までチャンピオンを争う活躍を見せたのです。
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